No.10

ゼロ精工 溜息三秒ボールペン

  • 第1回
  • ものづくり

ため息もれる優雅な動きで心癒されるボールペン

手を離すと、筒状の台座にペンが沈んでいく。音もなく、スーッと吸い込まれるように。1、2、3、4、5秒…。動きが止まり思わず息をつく。机上にはメタリックなボディが何ごともなかったように優雅に鎮座している。「溜息3秒」という名の一風変わったボールペンは、ある企業の苦闘の中から生まれた。航空機や油圧・空圧機器の精密部品を作るメーカーが、下請け体質から抜け出そうと、自社製品の開発を模索。ミクロン(1000分の1ミリ)単位で金属を切削する技術を生かして、ペンと筒の間にできる微細な隙間をゆっくりと沈む精巧なペンスタンドが完成したのだった。